*サン= サーンス 歌劇「サムソンとデリラ」からバッカナール (2018年2月4日 第40回定期演奏会プログラムより)

 「サムソンとデリラ」は旧約聖書の物語をもとにして、サン=サーンス(1835−1921)が作曲した3幕からなるオペラですが、本日は第3幕の一部である「バッカナール」のみの演奏で、紙面も限られておりますので「これだけ知っていればどういう曲か想像できる」という部分に焦点を当ててご説明いたします。物語は超要約すると、こういうことになります。「ペリシテ人の奴隷にされていたヘブライ人を解放した勇者である怪力男サムソンが、妖艶な美女デリラに篭絡され、その怪力を失って囚われの身となる。しかし祈りが神に通じて怪力が復活し、自分自身をも犠牲にしながら復讐を果たして息絶える」。
 さて、本日演奏する「バッカナール」ですが、語源はローマ神話に出てくる酒の神「バッカス」に由来し、そのバッカスを称える酒宴の踊りが「バッカナール」と呼ばれており、第3幕の酒宴の場面で演奏される曲です。簡単に言うと「酒盛りの踊りのための曲」というわけです。ただし、この宴会が行われているのは紀元前12世紀のパレスティナですので「パーティー」という華やかなイメージではなく、もっと原始的で官能的なもの、オペラの演出によっては「十八禁」と言いたくなるビジュアルが展開されるといえばご想像いただけるでしょうか。
 曲は冒頭、ヘブライ的旋律と呼ばれるアラビア風で妖艶なオーボエの独奏から始まり、その後、リズミカルな舞踏を想像させる旋律や情緒的で美しい旋律が続き、最後にアラビア風の旋律を再度歌い上げ、激しく加速しながら曲を終えます。
 とにかくとっても魅力的で親しみやすい曲で、演奏時間が7分程度ということもあり、吹奏楽コンクールでもよく取り上げられる有名曲ですが、中高生がこの場面の背景まで理解して演奏しているのかははなはだ疑問です。しかし、本日舞台上におりますのはすべておとなですので、きっと本来の劇中場面をご想像いただける演奏をお届けできるのではないかと思います!

(オーボエ 川瀬 博士)

楽器編成 ピッコロ 1、フルート 2、オーボエ 2、コールアングレ 1、クラリネット 2、バスクラリネット 1、ファゴット 2、コントラファゴット 1、ホルン 4、トランペット 2、コルネット 2、トロンボーン 3、テューバ 1、ティンパニ 1、トライアングル 1、カスタネット 1、シンバル 1、大太鼓 1、ハープ 1、弦楽5部。

 

 


 

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ブロカートフィルハーモニー管弦楽団 http://www.brokat.jp/