*ブラームス ハイドンの主題による変奏曲 作品56a(2014年9月21日 第33回定期演奏会プログラムより)

 ドイツのバイエルン地方、ミュンヘンの南西部にシュタルンベルクという名前の湖があります。1873年、そのほとりにあるトゥッツィングで、ブラームスは夏を過ごしました。森に囲まれ、快適な滞在生活を送り、その様子を、友人に次のような手紙で伝えています。「トゥッツィングは想像をはるかに越える美しさだ。湖は空よりも深い美しい青色で、雪に覆われた山々はいつまでも見飽きない」。

 ハイドンの研究家であるカール・フェルディナント・ポールとの交流により、当時ハイドンの作品と信じられていた「ディヴェルティメント 変ロ長調」を知ったブラームスは、トゥッツイングでの滞在中、その第2楽章「聖アントニウスの讃歌」を主題として9つの変奏曲を作りました。現在ではこの原曲はハイドンではなく、イグナチオ・プレイエルの作曲したものとされているのですが、このトゥッツィングの美しい自然に囲まれた中で過ごしている中で、さまざまな楽器の特徴を十分に発揮した、色彩豊かな楽しい曲が完成しました。

主題 アンダンテ(歩く速さで) 変ロ長調 オーボエ、ファゴット、コントラファゴットとホルンのアンサンブルで讃美歌的。
第1変奏 ポコ・ピウ・アニマート(少し動いて) 変ロ長調 ファゴット、コントラファゴット、ホルンとティンパニが変ホの音を鳴らす中で、弦楽器の旋律が始まる。
第2変奏 ピウ・ヴィヴァーチェ(もっと生き生きと) 変ロ短調 管楽器が主要な役割を演じる。
第3変奏 コン・モート(動きをもって) 変ロ長調 第2変奏よりのびのびとしたリズムで、オーボエとファゴットのメロディから始まる。
第4変奏 アンダンテ・コン・モート(歩く速さで動きをもって) 変ロ短調 短調になり、前の曲とは雰囲気が変わるが、味わいながら進む、落ち着いた運びの曲。
第5変奏 ヴィヴァーチェ(生き生きと) 変ロ長調 突然、快活になる3拍子の音楽で、それぞれの楽器が互い違いに伴奏と旋律の役割を担う。
第6変奏 ヴィヴァーチェ(生き生きと) 変ロ長調  スケルツォ的な曲。
第7変奏 グラツィオーソ(優美に) 変ロ長調 フルートとヴィオラによる旋律で、ゆったりとした田園的な風景が広がる。
第8変奏 プレスト・ノン・トロッポ(行きすぎない程度に急速に) 変ロ短調 流れるように旋律が受け渡される。
終曲 アンダンテ(歩く速さで) 変ロ長調 この曲自体が変奏曲。旋律を繰り返しながら場面が展開している。

(ヴァイオリン 小川 早奈子)

楽器編成 フルート 2、ピッコロ 1、オーボエ 2、クラリネット 2、ファゴット 2、コントラファゴット 1、ホルン 4、トランペット 2、ティンパニ 1、トライアングル、
弦楽5部。

 

 


 

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ブロカートフィルハーモニー管弦楽団 http://www.brokat.jp/