*シベリウス 「カレリア」組曲 作品11(2012年3月18日 第29回定期演奏会プログラムより)

 交響詩「フィンランディア」で知られるフィンランドの国民的作曲家、ジャン・シベリウス(1865−1957)は、26歳のとき、生涯連れ添うことになる妻アイノと結婚し、新婚旅行にフィンランド南東部のカレリア地方を訪れます。そして、この地方に伝わる民謡や伝説に触発され、翌年、歴史劇の付随音楽として作曲したのが「カレリア」です。きょうお聴きいただく組曲は、全曲の中から、作曲家自身が3曲を選んだものです。
 管楽器が活躍することもあり、ブラスバンド用に編曲されるなどして、比較的お馴染みの曲でしょう。特に、第3曲「行進曲風」はアンコールピースとしても重宝されますが、3曲全部の実演に接する機会は意外と少ないかもしれません。歴史劇のために作曲された音楽であるため、ドラマティックでイメージが湧きやすい曲想です。今回のプログラムでも、深遠な交響曲第7番を聴く前にはピッタリな楽曲ではないかと思います。

間奏曲 弦楽器のざわめきの上にホルンの幻想的な響きが加わります。トランペットに引き継がれて明るさを増し、トロンボーンや木管楽器が加わりながらクライマックスに到達します。
バラード クラリネットとファゴットによって始まり、弦楽器群の深い響きが旋律を引き継ぎます。ほの暗い旋律ですが、絶望や悲劇とは程遠い美しい音楽。シベリウスの曲の多くが魅力的な弦楽器の旋律を備えていますが、このバラードも例外ではありません。オーボエやフルートの響きも美しく、終わり近くに登場するコールアングレも耳を楽しませてくれます。
行進曲風 ヴァイオリンの軽快な旋律で開始され、一気に明るい雰囲気に包まれます。その後トランペットやトロンボーンによるファンファーレ風の旋律が現れ、トライアングルやシンバルも加わり、賑やかさを増します。そしてあっという間に、堂々としたエンディングを迎えます。曲想は分かりやすいものですが、クラリネットなどの和声の響きによって、「ただの行進曲」ではない不思議さを感じ取れると思います。

(トランペット 仙波 靖之)

編成:Fl.2(Picc.1), Ob.2, Ehr.1, Cl.2, Fg.2, Hr.4, Tp.3, Tb.3, Tub.1, Timp.1, Cym.1, Trg.1, BD.1, Tamburine 1, Strings

 

 


 

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